AIの得意・不得意

同じAIでも、業務によって結果は逆になった

BCGのコンサルタント758人の実験では、AIの得意な業務でAIを使うと、成果の品質が40%以上高くなりました。苦手な業務では、正答率が19ポイント低くなりました。

4分で読めます 出典:Dell’Acquaほか「Navigating the Jagged Technological Frontier」(HBS Working Paper 24-013、2023)(外部サイト、新しいタブで開きます)

完了タスク数(得意な業務)
+12.2%
品質(得意な業務)
+40% 以上
正答率(苦手な業務)
−19 pt

同じ人が同じAIを使っても、ある仕事では成果が上がり、別の仕事では下がりました。差を生んだのは道具ではなく、その仕事がAIに向いていたかどうかでした。

研究でわかったこと

この実験は、ハーバード・ビジネス・スクールなどの研究者が、ボストン コンサルティング グループ(BCG)と共同で行いました。対象はBCGのコンサルタント758人です。参加者は、AI(GPT-4)を使えるグループと使えないグループに無作為に分けられました。

研究者は、AIにできることの境目を「ぎざぎざの技術フロンティア」と呼んでいます。境目はまっすぐな線ではなく、でこぼこしているという考え方です。難しさは同じくらいに見えても、AIが簡単にこなせる仕事と、まだこなせない仕事が隣り合っています。

この研究では、AIの得意な範囲にある課題で、AIを使った人は使わなかった人より、完了したタスクが平均12.2%多くなりました。作業は25.1%速く、品質は40%以上高くなっています。課題は、新しい靴の企画や市場の分析、プレスリリースの作成など、実際の仕事に近いものでした。

この範囲の課題では、もともとの成績が平均より低かった人も高かった人も、AIによって成績が上がりました。伸びが大きかったのは、平均より低かった人です。

一方、AIの苦手な範囲に置かれた課題では、AIを使った人のほうが、正しい答えにたどり着く割合が19ポイント低くなりました。表計算のデータだけで判断できそうに見えて、実は社内関係者へのインタビュー記録に大事な手がかりがある課題でした。

AIは、間違っていてももっともらしい答えを出すことがあります。研究者によると、AIを使って成績を落とした人には、その答えをそのまま受け入れ、あまり問い直さない傾向がありました。

AIをうまく使えた人には、二つの型が見られました。AIに任せる部分と自分で進める部分をはっきり分ける人と、作業の流れ全体でAIと細かくやり取りを続ける人です。研究者は前者を「ケンタウロス」、後者を「サイボーグ」と呼んでいます。

小さなチーム・個人事業の場合

小さな会社にとっての教訓は、AIはどの仕事にも同じように効くスイッチではない、ということです。よく効く仕事もあれば、もっともらしい間違いが出やすい仕事もあります。大切なのは、その見分けです。

汎用のAIツールは、平均的な使い方を前提に作られています。自社の価格表から見積書の下書きを作ることと、根拠の資料を渡していない質問に答えさせることとでは、結果の確かさが大きく違います。

どの仕事がAIに向くかは、見た目の難しさでは判断できません。この研究でも、難しさが同じくらいの課題で結果が分かれました。小さく試し、結果を確かめてから任せる範囲を広げるのが安全です。

この実験で正解の手がかりになったのは、数字の表ではなく、インタビュー記録の細部でした。小さな会社の仕事にも、お客様とのやり取りや過去の経緯など、表に出ていない前提がたくさんあります。そうした情報をAIに渡し、人が確かめる場所を決めておくことが、結果を分けると私たちは考えています。

中規模以上の会社の場合

規模が大きくなると、目に見えない品質のばらつきが問題になります。大きな成果を上げるチームがある一方で、もっともらしい答えを信じ、気づかないまま質を落とすチームが出てくるおそれがあります。

この研究は、AIの得意な範囲がどこまでかは、使う側から見えにくいとも指摘しています。必要なのは、熱意よりも設計です。

  • 導入の前に、業務をAIに向くものと向かないものに分ける
  • AIエージェントには、一般的な知識ではなく社内のデータを根拠に答えさせる
  • 誤りの影響が大きい操作には、人の承認を必ず入れる
  • すべての操作を記録し、誤りを見つけて直せるようにする
  • AIの答えを確かめるべき場面を、社員が見分けられるようにする

AIの得意な範囲は、技術の進歩とともに動いていきます。一度決めた線引きも、定期的に見直す必要があります。

私たちの使い方

最初に、業務を三つに分けます。無料AI業務診断(30分)とその後のヒアリングで、業務・ツール・データを伺います。そのうえで、AIエージェントに任せる仕事、下書きまでを任せて人が承認する仕事、人に残す仕事に分けます。

資料を根拠に動くようにします。Agentic RAG、CAG、ナレッジグラフを使い、AIエージェントが会社の資料とデータをもとに答えるようにします。根拠が見つからないときは推測で埋めず、人に回す設計にします。

判断は人に残します。重要な操作は承認ゲート(重要な操作は必ず人が承認)を通り、すべての操作を記録します。データは非公開環境(データは学習に使いません)で扱います。

境目を見張り続けます。AIエージェントのPolaris(サポート・監視)が動きを見守ります。効果ダッシュボード(削減できた時間・1件あたりのコスト・正確さを毎週確認)で、数字も確かめます。業務やAIの変化に合わせて、任せる範囲を見直します。

確かめ方をチームに伝えます。AIの答えを問い直すべき場面を見分けられるよう、チーム研修で具体的な確かめ方をお伝えします。

ご案内

業務の流れを教えてください。AIで一番時間が浮く場所をお見せします。

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